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2025.2.01 INFORMATION

DIALOGUE+が3rdアルバムを引っ提げたライブ「DIALOGUE+3」で全22曲を完走!田淵智也総合プロデューサーらが登壇したトークライブで振り返る1万文字レポート

声優アーティストユニット・DIALOGUE+が、2024年12月29日(日)に3rdアルバムのリリースライブ「DIALOGUE+3」を東京・TOKYO DOME CITY HALLで開催した。年の瀬をDIALOGUE+とともに締めくくるために大集結したファンで全席完売となった本公演。その2週間後には、『大感想戦』としてセットリストやダンス・楽曲のポイントを解説するオフィシャル打ち上げ「DIALOGUE+WHITE BOX THE LIVE! vol.1」が東京・新宿ロフトプラスワンで行われた。本稿では、総合プロデューサー・田淵智也、コレオグラファー・沢口かなみ、キーボード・今井隼が出席したトークライブを基に、「DIALOGUE+3」公演を振り返る。

会場が飲食可能なロフトプラスワンということもあり、座席につくと飲み物などを注文し、乾杯から始める3名。まずはライブのセットリスト解説から。当日のセットリストは以下の通りだ。

M01. かすかでたしか
M02. FU-TSU-TSU-KA I love you
M03. ダイアローグ+インビテーション!
M04. イージー?ハード?しかして進めっ!
M05. everything!
M06. 絶景絶好スーパーデイ!!
M07. たびのとちゅ
M08. トーク!トーク!トーク!
M09. 凍てついて秒速
M10. これは訓練ではない
M11. おもいでしりとり
M12. 誰かじゃないから
M13. dialogue+kawaii
M14. 花咲く僕らのアンサーを
M15. デネブとスピカ
M16. 来世なんて待ってらんない
M17. ユートピア学概論
M18. にゃんぼりーdeモッフィー!!
M19. わたしたちのラプソディー
M20. 流星群の向こうで
M21. はじめてのかくめい!2023
EN1. 好きだよ、好き。

田淵
「全21曲とアンコールですね。僕の中でアルバムは”最初の3枚”がすごく大事で、そこでどこまでストーリーを作れるか。ストーリーをしっかり完成させるつもりで作ったアルバムだったので、これだけのレパートリーが揃って一番良いセットリストを組むために頭を捻りました」

ここでファンからの質問、「今井さんはいつセットリストを知ったのですか?」を拾い、今井は田淵がこまめにメールを送ってくるがどんどん変更が入るので、結局どれが正解なのかわからないと笑いながら話すと、田淵は、「仕事は早い方が良いのですぐ決めて送るんですけど、他のライブとかが挟まるとセットリストの流れが変わっちゃいます」と返す。当初は「パンケーキいいな」が入っていて、後から入ったのは「トーク!トーク!トーク!」と「おもいでしりとり」だったことを明かした。

本ライブはアルバム「DIALOGUE+3」のリリースライブのため、収録曲13曲はすべてやることは決定していて、ライブは20曲90分がベストと考える田淵が残りの7曲をどうするのか──。その中で「おもいでしりとり」を入れた大きな理由として、初めて見る人が多いライブの場合MVの再生回数が最も多いヒット曲を入れるのはお客さんへの礼儀としてまだ大事な時期、基本を忘れてはいけないと語る。

田淵
「セットリストの構造上、1ブロック目が1〜4曲と見せかけているけど実は6曲目までで、そこまで上げ切って一回落とすことができればお客さんも「俺達すごいライブ見ているかもしれない」という気持ちになり、後のバラードも効いてくるので、6曲目の「絶景絶好スーパーデイ!!」までまずは頑張ってくださいと伝えました」

この、田淵によるブロック解説が行われたタイミングで、バンドメンバーの今井から愛のある苦言が。今回もDIALOGUE+としては恒例の”MC無しのぶっ通しライブ”だったからだ。

今井
「僕達は通しリハをする前に”ブロック通し”というのがあって、例えば1曲目から4曲目までやって一回止めて、というのをやるのですが、ブロックとブロックの間には通常MCが存在するんです。つまり今回のライブでは、1ブロックが1曲目から19曲目までで、2ブロック目が2曲、アンコールが1曲で終わるライブなんです(笑)。最初に貰うセットリストにはブロックの間にMCって書いてあるのですけど、どんどん消されていくんですね。これが田淵のやり方だ!! (笑)」

ここでライブの感想を振られた沢口は、「かすかでたしか」始まりが珍しいと思ったと振り返り、彼女なりのテーマを話す。

沢口
「このライブ前の10月に、アルバムから2曲ずつ初披露する”新曲鍛錬公演”の「チャンバワンバjourney!!」ツアーがあって、その時よりもいかに良くなっているかを見る日だったので、「どうしよう上手く行くかな?」みたいな気持ちも無かったです。最近は毎回ライブ前に田淵さんからテーマを話してもらっていて、新曲鍛錬公演に関しては歌の強度を上げましょうというのがあり、終演後に”達成か未達成だったか”を田淵さんが評価していました。そして今回は、もう新曲に感じさせないライブにしてくださいと。当然出来ていることも出来てないこともありましたが、よくできた方だと思います」

 

 

 

そして続いては、セットリストの流れを順に振り返っていく。”0曲目”であるopening sessionのピアノは、フランツ・リストの《愛の夢 第3番》のオマージュを今井が演奏した。田淵は、冒頭にロマンのある伏線をつくる目的で、”第3楽章”のように「3」がつくクラシックの名曲は無いかと作曲家のAkkiに聞き、アメリカ国歌のようなアレンジを作ってもらったことを明かす。1曲目の「かすかでたしか」はこれまでドラマチックな使い方をしているため、どうしたら良いかを考えた際に最初にアカペラで始めるというのを閃いたようだ。

この0~1曲目の流れについて、今井は24年11月に開催された沢口かなみ主催フェス「それはそれでいいね」で、DIALOGUE+を客席から初めて見たことが大きかったと話す。「結成当初から関わっているグループが、表から見るとこんなに楽しそうにしていて、その成長した姿に感動したんです。今回の本番が始まった瞬間はステージ上にすごく緊張感があって、「かすかでたしか」が始まった時に、今日はしっかり作り上げたものを提示する場所なんだ、と思った」と語る。

2~3曲目は「FU-TSU-TSU-KA I love you」から「ダイアローグ+インビテーション!」となっており、「FU-TSU-TSU-KA」は「これからもよろしくね」という台詞の後にモールス信号が入るが、これは「インビテーション︕ 」のモールス信号と同じで「これからもよろしくね」という意味であることから、この2曲を繋げてエモーショナルな感情を高める狙いがあった。曲の繋ぎのこだわりは続く。「インビテーション!」から4曲目に「イージー?ハード?しかして進めっ!」を置いた理由を田淵が話す。

田淵
「やっぱり「イージー?ハード?」がまだちゃんと跳ねてない感じっていうのはメンバーも思っていて、セットリスト的に鬼門というか今井さんの言った通り1、2曲目は絶対かっちりになると思っていたから、「インビテーション!」1曲で上がりきらないところに「イージー?ハード?」を持ってこようと。でもこれって、本当に気持ち良い繋ぎになるのかと。そこで何をやったかというと、「インビテーション!」の最後を「テーレレレダン」と切らないで、「テーレレレレー(ウィン」とギターとベースの音を少し荒く残すと音が切れていないように聞こえるんですよね。そうすると音が急に綺麗に消えた瞬間に「まーわるまーわる」と来るから気持ち良くて、これは「にゃんぼりーdeモッフィー!!」と「わたしたちのラプソディー」の繋ぎでも使っていて、「にゃーっ」っていう最後の1発を伸ばしています」

また、今回は3rdアルバムを引っ提げたライブということで、その特有の難しさがあったらしい。どうしてもバラードで落ち着いた時間が多くなってしまうため、ミドル曲を固めないように分割しようと考え、「たびのとちゅ」で一回落とした後に最近披露していなかった「トーク!トーク!トーク!」でコア層の盛り上げをつくる狙いがあったようだ。

 

 

ここでファンからの質問があり、「凍てついて秒速」から「これは訓練ではない」にした意図を聞かれた田淵は、

田淵
「アルバムの流れ通りで、俺のセットリストのメモにも”黄金の繋ぎ”って書いてあるんですけど、これもライブで実現させるために工夫がなされているんですね。実はクリックありきにすると難しくて、あの音源通りの繋ぎは出来ないんですよ。だからドラムの鈴木浩之さんは、最後の2小節ドラム叩いていないんです。2小節を捨てないとカウント聞こえないから、そこだけ会場にはレコーディングの樋口さんのドラムの音を出しています。「凍てついて」の最後で皆がセリフ喋っているところだけ、鈴木さんは「訓練」のクリックを聞く準備するという大変なことをやってもらっています」

と苦労を語ると、沢口は

沢口
「「これは訓練ではない」が、やっと見たかったところまで行きましたね。(24年11月の)「DIALOGUE+ BAND Assemble!!!!!!!!」ライブの時にダンス無しでやったんです。私は歌っているだけよりも踊りがある方が良いと信じているのですが、踊り無しで見た時に初めて「やばい。私の見たかった景色はこれだったかも」という感覚になったんです。それまでに披露していた「訓練」も、格好良いけど、私の見たかった景色までは行ってない感覚があって、それが「Assemble」でやっと見たかった感じになりました」

と新しい景色が開けたことに感慨を覚えたと話す。そんな「訓練」から「おもいでしりとり」への繋ぎも大変だったようで、

今井
「繋ぎで一番ヤバかったです。最後「タタタ」って終わってすぐに1,2,3,4のカウントが来るので、「訓練」のアウトロを弾きながら、次の譜面をめくれるように持っておくんですね。でもやっぱり譜面は見ていないと弾けないから、「ここから先は弾ける」という瞬間に弾きながらめくるんですが、「おもいでしりとり」の直前に暗転して手元が見えなくなるから、リハで照明さんともタイミングを調整しました」

田淵「「訓練」でしっかり盛り上がる、そのための8〜10曲目の流れで、「ここで一瞬終わるんだろうな」と思って拍手しようとした瞬間に、あの聞き覚えのあるイントロが流れるというのが一番ドキッとする。やっぱりヒット曲って凄いよねっていう空気にしたかったんです。「おもいで」をセットリストになぜ入れたかというと、シングル曲が少なかったからですね」

その「おもいでしりとり」へと移行する演出の話題にもなり、前述の通り「訓練」は暗転終わりのため、座りのフォーメーションからスタートする「おもいで」の準備をする際に、明かりのガイドが無かった。そのため、座るタイミングを田淵がメンバーのイヤモニに言うことでタイミングをはかっていた。この部分に当日のリハで10分以上かけたと話すと、沢口が「訓練」終わりから「おもいで」に移行する足運びに、メンバーごとの移動距離の違いもあり苦慮したことを明かす。

そして、「おもいで」の後に1分間の無音の時間をつくったことについて、田淵は最近DIALOGUE+のライブにおいて無音が怖くなくなってきたと語る。本当は無音でいいのに無音にお客さんが慣れていないため事故があったと思わせてしまったり、誰かがあまりに空気を読まない歓声をあげて空気が乱れる危惧があったが、会場のファンとアーティストの信頼度があるからできるようになった演出で、ファンが醸し出す空気感の賜物だと感謝した。その無音の時間の後には、今井によるピアノ・ソロが演奏されたのだが、その場面について解説する。

今井
「「誰かじゃないから」の前にピアノを弾いて繋いだのですが、そういうことってよくあるんですよ。例えば本人着替えるので何分間か弾いて下さい、とかね。普通に何かやれって言われればいくらでも弾いてられる訳だけど、”ショー”として考えた時に適当なものがあってはいけないので、何かしらのテーマを作ります。その時に田淵君から言われたのは、「誰か」イントロの「テンテンテンテン……」で終わる、っていうのが一つ目のテーマで、もう一つのテーマは始め方。「かすかでたしか」の前にオープニングインストがありましたが、あれはリストの曲から来ていて「テンテンテンテン……」というところから入ったんですよ。そこからのオマージュをしようと思いまして、譜面も無いしコードも何も決めてないのだけど、「かすか」から「誰か」に繋げることをテーマにどうやって持っていこうかと考えながら弾いている感じです」

 

 

そして話題は、この日起きたトラブルと舞台裏のやり取りにスポットが当たる。実はこのライブにおいて、13曲目の「dialogue+kawaii」の途中で飯塚の声が出なくなり、急遽ステージからハケる事態が起きていた。飯塚はライブ終了までに全力を出しきってヘトヘトになることはあったが、ライブ本番で崩れること無かったため、運営陣にとってもまさかの出来事。この時、舞台裏とステージ上ではかなりタイトなやり取りがなされていたと述懐する。

田淵は「飯塚が歌えなくなったので、本人の判断で一回ハケました。帰って来られると思っていたけど、スタッフから「すぐには出られない」というLINEが来たので、それをメンバーの耳に伝えたのですが、バンドの人たちはイヤモニが無いからわからないんですよね」と話すと、今井は「最初は何も分からなくて、「デネブとスピカ」から急にボーカルデータが耳中に入ってきたので、トラブルがあったのかと思ったのですが、何が起きているのかわからなくて……。MCとかで休む間も無いから、そのまま本編ラストの『はじめてのかくめい!』が終わったんです(笑) 」と返した。

そしてこのトラブル下において、事態をリカバーするために率先して動いたメンバーが居た。村上まなつ、その人である。

田淵
「ライブが進行している裏で「いま本人は休んでいます、出られないのかもしれないです」って連絡が来たから、出られないのかと思っている間に「花咲く僕らのアンサーを」の1番が終わって「あ、飯塚のソロあるやんけ」と。その時は何も指示して無いのだけど、急に村上が歌い出して……素晴らしかったね。で、俺は調子に乗っちゃって、イレギュラーは全部村上に任せようと。

本当にメンバーには助けられて、それこそバンドメンバーは何が起きていたかわからないけど、「花咲く」終わりのバンドセッションで堀崎さんのギターソロが長かったのも気遣いですよね。どうなっているか分からないし、止めるという指示も無いからとりあえず長めに弾いてくれて。俺は裏でこの後7人で進行するためのやり取りに必死だったので、学習して次に繋げて行かなければ。

こういうイレギュラーな事態は起きるものだし、飯塚は歌の中枢でもあるから、飯塚が抜けた時にどうするかはしっかり考えないといけないという教訓になりました。「あなたは踊りを頑張る人、あなたは歌を頑張る人だよ」っていう役目をちゃんと決めようと思っていて、歌を頑張る人は飯塚が抜けた時にもそれを気づかせないくらいのものを普段からやらなければいけませんと」

とはいえ、メンバー自身はスタッフほど焦っておらず、それも非常に頼もしかったようだ。そして飯塚は「花咲く」1曲だけを休み、歌唱できないながらもステージに戻ってきたのだが、ここでも村上のアドリブが光る。バンドメンバー紹介から「デネブとスピカ」イントロまで村上は正面しか見ていないのだが、飯塚の歌割が振られている箇所で飯塚の立ち位置を一瞬だけ確認すると、Aメロ直前の両手を組む仕草を利用する形でマイクを口元に持っていき、「麻結おかえり〜〜!」と差し込むファインプレイを見せた。

さらに田淵はもう一つ裏話として、「実は飯塚だけのボーカルを出せる曲と、全部のボーカルが一つになっている曲があるんです。ライブ進行中にPAさんに飯塚のソロがある曲を見せてもらって、その部分も村上に歌ってくれと。でも、盲点だったのが「はじめてのかくめい!」に台詞があること。2サビが終わって間奏入った時に「やばいやばいこれどうする」と完全に動揺しちゃって。そうしたら、直前で飯塚が村上に「私ここは言える」ってやり取りがあったらしいんだよね、ステージ上でですよ」と感服していた。

 

 

そして話はセットリストに戻る。最終ブロックとなった「デネブとスピカ」から「わたしたちのラプソディー」までの15〜19曲目について。

田淵
「最終ブロックをラストスパートで全力疾走するというのは格好良いからやりがちで、最後の曲として順当なのは「ユートピア学概論」。でもこれも結構コスっているからもう驚きがないかなあと次候補として出てきたのが「わたしたちのラプソディー」でした。新曲がスパートの最後というのはリスキーだけど、2024年横浜の「DIALOGUE+ BAND Assemble!!!!!!!!」公演で1回やっていて化ける気がしたので、お客さんを信じて最後に賭けで入れました。

となると、「ユートピア学概論」はどうするかと考えた時に、「にゃんぼりーdeモッフィー!!」の方が盛り上がる絵があるかもしれないと思って「学概論」の優先度を下げたんですよ。アルバムの中で優先度を下げる曲っていうのは結構あって、「everything!」と「学概論」は、意図的にメインではない使い方をしました。結構挑戦でひやひやしたんですけど、「わたしたちのラプソディー」「にゃんぼりー」の使い方が結構見えてきたし、結果的にすごく良かったです。

その中になぜカップリング曲の「来世なんて待ってらんない」が入っているのかというと、これもまた賭けというか”ワンダー”があるかどうかということ。俺のカップリング理論って結構変屈だと思っていて、知名度が無い曲という認識を強く持ってライブでほいほいと使わないみたいなのがある。ただDIALOGUE+のお客さんはかなりカップリングも聞き込んでいる人が多いし、うまく機能させれられればお客さんを喜ばせられるかな、と。それで最後のブロックの絶妙なところでカップリングが来たら「うおっなんでここで!」となって熱いかもと思い、「パンケーキいいな」か「来世」だったら「来世」だと。僕の予想よりすごく人気が出た曲だったしパシフィコ横浜でも良い使い方ができたので、これをもうひと弄りしてみようってやりました。それで、歌舞伎でいう「これこれ!」というような見得を切ることで、次の意外な曲に振れ幅ができるんですよ。

だから、その曲の前後に何があるかというのはすごく考えていて、「凍てついて秒速」の前に何があったら良いのかと考えた時に、「トーク!トーク!トーク!」だったらハッとするなぁという、曲の前後にミソがあるぞというのをヒントとして伝えたいです」

こうして19曲目までの”1ブロック”を通しで披露してきたDIALOGUE+に、初めてのMCタイムが訪れる。頑張って良い事言った、と田淵がしみじみ語った守屋のMC全文は以下の通りだ。

「今年私たちは5周年を迎えまして、6年目に突入しました。ユニットで5年やるっていうのは簡単なことじゃないと思っていて、すごくすごく凄いことだと思っています。今年は音楽に真剣に向き合った年だった気がしていて、8人皆で頑張ってきました。まずは皆さん今年もいっぱいありがとうございました。

きょんが皆に話せることって何だろうと考えた時に、唯一誇れることが、まわりの人への感謝を忘れないことなんですね。当たり前のことじゃんって思うかもしれないけど、実はこれがすごく大事なことだと思っていて、私は小学生の頃からお仕事しているんですけど、その時からずっとずっと大切にしていました。だから、芸歴16年のきょんが皆に伝えよう。感謝を忘れるな!

特に私たちの活動は、皆や支えてくれている人が居ないとできない活動だっていうこともありますので、本当に私たちは皆のことを大好きって気持ちでステージに立ち続けるし、声を届け続けます。今この時間を一緒に過ごしてくれていることも簡単なことじゃないし、当たり前に思っちゃいけないって思っています。私たちが皆の人生の1ページにいるってことは本当に凄いことだと思うし、本当に感謝しています。

でも、感謝しているだけじゃ駄目だと思うので、皆にとっての1ページをもっと大きくしたいし、私達がなくてはならない存在になりたいと思っています。じゃあそのために私たちは何をしたらいいんだろうって考えた時に、今までのきょんだったら一生懸命頑張りますって言っていました。

でも、もう言いません!
そういうのじゃなくて、私達を信じてください。ちゃんとしっかり見ていてください。私たちはこんなにも強くなりました。

私たちはログっ子皆のことが本当に大好きです。来年もその先も一緒に幸せになりましょう」

田淵は、日頃の行動・発言から感謝を忘れない気持ちが滲み出ている人だと守屋を評し、「デネブとスピカ」冒頭の独唱も、彼女がこの1年で歌も踊りもすごく伸びているから任せたもので、毎回あの形でも良いかと思うくらいだと賛辞を送った。

田淵「”1年で強くなった私”ということで、ちゃんとお客さんに感謝を伝えられるMCを一生懸命考えくれてね。最初は「感謝をしている、すべきだ」というのがメインとして書いてあったんだけど、「今後あなた達は、そのお客さんを引き連れて行かなきゃいけないのに、感謝で終わりでいいのか」とやり取りしました。「これからも一生懸命頑張ります」みたいなベタなのでもいいぞと言ったら「一生懸命頑張ります、じゃもうないんです」って。それで出てきたのが「私たちは強くなりました。私たちを見ていてくれ」だった。良い事言うじゃん、泣いちゃうぞ俺」

そして20曲目「流星群の向こうで」の最後に息を吸うという演出は「透明できれい」のオマージュで、アルバム「DIALOGUE+1」のラストソングであり、ライブ本編最後の「はじめてのかくめい!」への繋ぎと同じであったと解説する。「流星群」はアルバム「DIALOGUE+3」の最終曲であるが、もう一つ何かあった方が流れとして良いと考えて、ストーリーのラストに辿りつく展開を描いた。

本編終了後、会場の客電が明るくなるとすぐにアンコールの大合唱が響く。

田淵
「トラブルもあって色々勉強になりましたけど、メンバーとバンドメンバーの支え、そしてお客さんのアンコールで「好きだよ、好き。」が出来たので、チーム力の勝利ですね。アンコールは別に呼ばれたらなんでもいいんで、なんなら一旦セットリストにも入れていた「パンケーキいいな」かなと思ったのですが、まあカップリングだしその頃には踊り的にも多分ヘロヘロだろうし、ある程度慣れている曲の方が良いと思ったからです。

ちなみに今井は”弾きたがり”であるようで、「パンケーキ」に関して、「ライブではマニュピレーターという方が居て、ステージ上から出ている音だけではなく、PCから流しているデータの音もあるんです。ピアノとオルガンがある場合は、ピアノの音だけ出してオルガン弾くというパターンがあるのですが、全部自分で弾くこだわりがあって、それで一番大変なのが「パンケーキ」なんです。この曲どうやるんだと頭を抱えて、結局良いところを全部弾くと決めて、5時間かけて譜面を書いた」と語ると、会場から感嘆の声が漏れた。

そんな今井と沢口に、「DIALOGUE+で一番難しい曲は?」という質問が届く。

沢口
「何をもって難しい曲なのかによりますね。私でいうと作るのが難しいのか、本人達が踊るのが難しいのかもあるけど、「凍てついて秒速」は3位以内に入る感じかもしれないです。私は最初に曲を聞いた時点で、皆がどういう風に踊っているかを思い浮かべるんですけど、「秒速」は本当に何も浮かばなくて。振り入れてからもそれが正解なのかわからなくて、修正を重ねていって、今回のライブで良くなった曲ですね」

今井
「ちょっと違うベクトルで話をすると、DIALOGUE+の楽曲はテクニカルなものがすごく多いんです。単純に早いとか決めが多いとか色々あるんですけど、音楽家として一番大変なのは雰囲気が出ないと曲として成立しない、例えば「たびのとちゅ」みたいなミドル曲なんです。決めが多く・早くというのは、障害物競走をクリアしていけば成立するんですけど、ちゃんと皆が音楽を理解して同じノリを共有していく曲の方が難しいと思います。DIALOGUE+バンドもたまに人が変わったりすると、同じ楽曲でもそこで生まれるノリは変わる訳なので難しいってことになるかも」

今井に乗る形で沢口は、DIALOGUE+は速い曲が多いため、「たびのとちゅ」のようなゆったりめの曲を踊るのに慣れていないから、まだやりようがあると今後の楽しみを挙げた。また、「今回のライブで三人のベスト曲は?」という質問に対して沢口は「これは訓練ではない」を挙げた一方で二人は、ライブは全体の流れを考えるから”この曲が”というのではなく、全部で1曲を全員でつくりあげるものなので全部がベストと回答した。

 

 

さて、セットリストの解説の後には、ライブ全体を振り返るパートも設けられた。本ライブに臨むにあたって、運営陣は特に体調面を整えることに関して念入りに準備したようだ。それは「チャンバワンバjourney!!」ツアー経て体調を崩すメンバーが多かったからで、風邪を引くメカニズムの説明から始まり、感染対策の基本を周知したお陰もあって本番日を無事に迎えられたようだ。そうして体調面では万全な状態であったが、本番の少し前に意外なトラブルが起きた。2024年11月に、メンバーの鷹村彩花が肋骨の亀裂骨折をしてしまったのだ。その当時の様子を語る。

田淵
「ある日のリハーサルに踊って歌う気満々で彼女が来たのだけど、明らかに何かおかしい。どうしたって聞くと、「実は何か痛くて、でもやりますから」って。いやちょっと待ってくれ、一回ちゃんと病院で見てもらって来いって帰したんです。今やらなきゃいけないのは12月29日に一番良いライブをやることなので、今痛い状態で踊って何か良いことありますか、病院行きましょう、と。それでスタッフの人と一緒に病院から帰ってきたら「やっぱり折れていました」と。じゃあこの日までは踊っちゃいけません、目的は12月29日に出ることなので我慢しましょう」

と無理をしようとする鷹村を何とか説得し、ライブ開催ギリギリのところで復帰できたエピソードを明かした。

最後に、5周年を迎えたDIALOGUE+の成長したポイントを聞かれた3人は、

今井
「先程も話しましたけど、「それはそれでいいね」(かなみフェス)を表から見たのが大きくて、やっぱり楽しくなりましたよ。ライブって生き様を見せる場所だと思っているというか、個々の技術が通用しないんですよ。ちょっとミスしたとかあるんだけど、見ている方々はそういうことじゃなくもっと大きな視点で我々を見ている。僕がいつも思っているのは、”お前は今までどうやって生きて来たんだ?”ということを、毎回ライブで試されているような気分で演奏しているんですね。

僕なんていちサポートミュージシャンなので、僕が居ようが居まいがライブは普通にできるけど、あの子達はそれを全部背負って前に立っている人たちだから僕と立場が全然違うので、もっと覚悟を持って立っているんだと思う。それは1stライブから多分そうだったと思うんだけど、やはり彼女たちの背中や表から見た時の感じとかが本当に頼もしくなったなと」

田淵
「それはかなみフェスの時に鈴木浩之さんも言っていましたね。最近、出演時間が短いイベントのリハでは俺は何もやってないんですよ。メンバー勝手にやっておいて、と。やはり最初は役者さんから入っているから、「台本に何が書いてありますか?私は何を言えばいいんですか?」と聞く職業だと思うでんすけど、俺達がやっているのは音楽で、ステージに立っている人がお客さんを感動させるという目的がある中で、間に挟まっている人の指示は不要でしょ。遠巻きにサポートするのがプロデューサーでありスタッフである、という風になってくれたらいいなと思っていたので、「チャンバワンバjourney!!」ツアーのあたりからは大枠作ってから任せていて、逞しくなったって言ってもらえると嬉しいですね」

沢口
「私的にはそれのダンスバージョンになると思うんですけど、”共通言語”が増えたんですよ。踊りを揃える上でカウントで揃えるところなのか、歌詞に合わせて揃えるところなのかとか色々あるのですが、そういう共通言語が増えてきたので、私が言わなくても伝わるようになった感じがします」

田淵
「俺は総合プロデューサーになった時に、全部の現場見ていた方が閃くアイデアとかもあると思ってリハも全部行ってたんです。今も大体行っているけど、何かただ仲間に会いたいみたいなところもあって、俺行く必要無いなと。そうしたら自分の時間が出来たので、曲が書けるようになったんですよね。これこそ昔から本で読んでいた「人に任せなさい」ってやつだと。居る必要が無いというのは俺的には嬉しくて、安心してできるようになったことで、俺はクリエイティブに向き合えるようになった」

とそれぞれ語った。
約3時間のトークライブも終演時間に迫ると、DIALOGUE+今後の活動について告知があった。

DIALOGUE+は2025年2月2日(日)に埼玉・大宮ソニックシティ大ホールで「DIALOGUE+3 advance -TREASURE mode-」を、2月23日(日)に愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホールで「DIALOGUE+3 advance -CURTSEY mode-」を開催する。「TREASURE mode」では12th Single「TREASURE!」を、「CURTSEY mode」では13th Single「アリバイなカーテシー」を初披露する予定だ。「DIALOGUE+3」の追加公演となる”advance”ツアーだが、今回の公演からさらに成長した姿を見せるライブになるようだ。

最後に今井が「昨日よりも今日の方が良いライブができるし、今日より明日の方が絶対良いライブができるんです。だから良いライブになることは決まっているので、2月もそうですし今年もDIALOGUE+をよろしくお願いします」と挨拶をして、イベントを締めくくった。